そういえば… 新酒が搾り上がった日の話をしていなかった…。
画像だけが残っていたのですが。

初しぼりが搾られたその日、蔵の中はまんべんなくお酒の香りが充満していました。
槽場(ふなば=搾りをする部屋)ではちょろちょろとまさにお酒が搾れている音。

いい香り~♪
と思いながらカメラのシャッターを押していると、
製造部岩成の姿が見えました。

「どうも」と挨拶をした後、
柄杓を手に取ると、利き猪口に目の前で搾られている酒をうつし…

どこかに向かって歩き出したので、思わず尾行。
まさかの盗み酒?
それはさせまいと、カメラを片手にいつでもシャッターを押せるように
身を構えながら尾行。

どこまで行くのか。

別に疑うわけじゃないけど、こそこそ後ろをついて歩いていると、とうとう最上階。

利き猪口を手に持った岩成は、そのまままっすぐ神棚に向かい、
献上。

あぁ、そうか。
蔵の神様に報告するためか。

近くで作業していた奥村も、手をとめて、一緒に手を合わせる。

あぁ、この光景。
すごく好き。

そのあと岩成に手渡されたのは瓶に入った初しぼりのお酒。

今日は社長が出張で留守だから、代わりに仏壇や奥の神棚へのお供えお願いしますね、と。

外はとっても穏やかな一日。
これから27年度のお酒が次々産まれ、忙しくなってくる、
その前兆のような静けさに感じました。